「一つとして同じものがない。――― 自然に作られた石の魅力」

ナターリア・コルチェフスカヤ(ロシアの地質学者・鉱石コレクター)にインタビュー。

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Q  ナターリアさんが鉱石に興味をもたれたきっかけはなんですか。

uralimg8  「鉱石に興味をもったのは小学7年生(注1)のとき、先生がガーネット(ざくろ石)を持ってきて、 石の種類や性質を説明してくれたのです。その石がとても印象に残り、難しい石の組成もすぐ覚えました。 その後、地質学に携わるようになってからもガーネットをずっと収集してきたのですが、昨年、 そのコレクションを娘の学校に寄付しました。

 地質学つまり地球に関する学問を専攻するのは、とてもロマンチックだと思って、モスクワの地質学探検大学に進みました。 大学では『鉱石、有用鉱物と産地の鑑定』の研究をしました。山や鉱山で、石を掘りながら男性と知り合うというのが、 ロシアの女性にとってはロマンチックと思われているのですよ。」

注1) ロシアの初等・基本・中等教育は11年制

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Q  今までどんな仕事をされてきましたか?

 「大学卒業後はタジキスタンで鉱石の産地を探したり、極東のルダーを掘る会社で働いたり、 2002年にはノボシビルスクの行政機関で鉱山産業に携わる企業の調査を担当しました。その後、 ノボシビルスクのシベリア展示会場に鉱石美術館が作られた際、職員となりました。鉱石の収集、 来館者への説明、販売、展示会出品が主な仕事です。

年1回、ノボシビルスクで『シベリアの貴石』という展示会があり、ロシア中から宝石や天然石、鉱石の業者、鉱山職人、 コレクターが集まり、情報交換やコレクションの売買をします。そこで多くのコレクターと知り合いました。

鉱石美術館には、鉱石を見に来る人だけでなく、秘蔵の鉱石を売りに来る人、装飾品を買いに来る人、 鉱石の話をしに来る人などいろいろな訪問者がいて、自分が説明する以上に、来館者から学ぶことが多かったですね。 残念ながら、鉱石美術館はその後、閉鎖されてしまいましたが・・」

Q  鉱石コレクションはいつ頃から?

 「学生時代は鉱石採掘の実習を通じて、卒業後はさまざまな産地を見たりコレクターと交流したりして自然にコレクションが増えました。 掘っているとさ、石や土の中からキラキラしたものや美しい石が現れるのはとても感動的です。掘るのは難しく、 鋭い石でよくけがをしました。それでも石を掘り出したい気持ちが先走り、手が血だらけになつても気にならなかったものです。 実際、わくわくしながら掘っていました。石を水で洗うときれいな物体が現れたり、最後の最後まで汚れだったり、いろいろです。 鉱石を掘るのはとても危ない仕事です。上から石が落ちてきたり、寒かったり、健康に良いと言えません。しかし、 鉱石に魅せられてしまったのだからしかたがない、と誰もが言うのです。」

Q  自慢のコレクションはどんな石ですか?

 「いつも産地の近くにいたので、石を買うよりも売る方が多かったのですが、その中でも絶対手放せない品々があります。 一番好きな石は、友達からもらったダトーライト。白く輝く母岩の上に淡緑の結晶がのっています。 石自体は珍しくないけれど内面から輝くような魅力があるのです。水晶の内側に幻のように山が見えるファントムの石も大切な一つ。 非の打ち所のない形で、存在そのものが奇跡だと思えるのです。また、いくつかのガーネットは思い出と強く結びついています」

Q  鉱石の魅力とはなんでしょう?

 「ユニークで個性的な美しさ。一つとして同じものがない、加工品でなく自然に作られた物だということではないでしょうか。 コレクターのなかには食べるお金を削ってでも石を買う人がいます。私はそこまでではないですが、 本当のものに出合ったら、分かりません。そうするかもしれません。そんな魅力を感じさせるのが鉱石です」

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EURASIA View 2004 November Vol.36に掲載(2004年11月)

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